平成13年度は、訪問調査と文献調査を行ったところ、学校における各種アウトソーシングのうち、特にIT関連、図書館運営、教員斡旋などに着眼するとともに、地域資源の活用に関する以下の実態が明らかになった。 1.IT関連では、学校教員に対するコンピュータ指導業務を請け負う企業の進出がめざましく、たとえば、ウチダ人材開発センター、マンパワージャパン、日総ブレインなどのアウトソーサーが公立小中高校のIT関連指導を受注している実態があり、学校のスリム化を促進する可能性が明らかになった。次年度は、これら以外の関連企業にも調査を行いたい。 2.施設運営に関しては、まず図書館運営については、特に、図書館ボランティア等の地域資源の活用が取り組まれ、今後の定着の可能性が秘められていることが明らかになった(例:栃木県鹿沼市の小学校)。この場合、予算的負担を伴わずに、教員の周辺業務を軽減できる効果が著しく見られるものであることが予想される。次年度の学校対象調査において、その可能性を実証的に探る予定である。また、プール運営についても、杉並第10小学校など第3セクターによる委託方式を採用している学校ではスリム化が進みつつある実態も判明した。 3.教員の斡旋・派遣については、私立学校で導入されているアウトソーシングになり、現在、イー・スタッフ、総合教育コスモなどが私立中学校・高校に専任または非常勤の教員を仲介している実態がわかった。したがって、今後、公立学校にもその導入が可能かどうかの検討が必要だと思われる。 4.以上の他に、地域の多様なボランティア人材が学校のスリム化を促す可能性のあることがある程度明らかになったが、それらの取り組みを開始してまもない所では、むしろ付帯業務が増大し、スリム化に逆行する傾向も否定できない実態も見られた。しかし、仙台市の嘱託社会教育主事などの事例からは、学校側の対応によってはスリム化の可能性が高いことが判明し、静岡県の学校間連携の事例でも、地道な取り組みがスリム化に向かう可能性のあることがわかった。そこで、平成14年度調査では、そうした開始直後の場合でも、地道な取り組みの継続によってスリム化の効果が十分現れる可能性があることを実証していきたい。
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