研究概要 |
本年度は、フランスにおける初等教育の連続性について、先の2年間で、制度的な検討を中心にやってきたので、それを踏まえて、内容的検討、とくに、1990年代以降の政策における教育内容における連続性・一貫性を主に扱った。具体的には次の通りである。 1.前年度までの研究において明らかにしてきた就学前教育と小学校教育の学習期制による一貫した教育システムの成立の経緯に対応して,初等教育の教育内容の変化を明らかにするため、戦後のフランスの初等教育の学習指導要領の変遷を検討した。教科と教科群や領域の捉え方の変化とその背景、学習期制の導入以降(1990年代以降)の学習指導要領に見られる学習観や能力観から教育内容の連続性・一貫性について考察した。これは、「フランスにおける初等教育の内容的連続性-学習指導要領の検討を通じて-」(日仏教育学会2003年度研究大会)として研究発表を行った。 2.2002年2月の初等教育学習指導要領、及び関連文書等資料の訳出を前年度に続けて行った。 3.渡仏して、小学校、保育学校を訪問し、その取り組みを実際に見聞.し、資料を収集した。また、国立教育研究所(INRP-CRESAS)等の関係機関に於いて研究レビューを受け、教育内容から教育方法への研究視点の発展(個別化教育、インクルージョン)についての教示を受けた。 4.学習期制による教育方式を先導的に研究開発し、実践してきたパリ市郊外の「ブルソー・オープン・スクール」について調査し、学習期制の教育内容や個別化教育のあり方についての具体的検討を行った。 5.今次の3年間の研究をまとめて成果報告書を作成した。
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