本研究は、フランスのアニマトゥール(日本での社会教育職員に相当)の職業的性格とその制度的特質を明らかにした。そして同時に、その性格や制度にアソシアシオン(日本のNPOに相当)がどのような影響的関係を持っているかを明らかにした。 1)民衆教育アソシアシオンのボランティアは、1960年代以降、職業としてのアニマトゥールへ移行していった。その際、系統的養成、資格付与、身分等の問題が、具体的な職業化過程において、重要な論点であった。 2)この職業化過程は、アニマシオン概念とアニマトゥール国家資格の性格の変容過程でもあった。そして今日、アニマトゥールは、教育・文化的ニーズのみならず、社会的ニーズに応える役割を担い「社会的労働者」と性格づけられる職業となった。だがこのことは、アニマトゥールの専門的労働内容の定義の困難性と曖昧性の要因となった。 3)アニマトゥールの資格・養成制度は、その特質において、二面性を持っている。すなわち第1は、多様な社会的ニーズに応えるためのアニマトゥール資格の種類の拡大が、労働の質の確保には必ずしも成功せず、むしろ労働の細分化と狭隘化を促していることである。第2は、地域に密着した活動の基盤を広げ、現実に会わせての職の創出への努力をアニマトゥール養成機関であるアソシアシオンが担っていることである。 4)従来のアニマトゥールのほとんどはアソシアシオンの勤務者であった。しかし、1990年代以降、市町村公務員としてのアニマトゥールが増加してくる。これは非常に重要な意義を持っている。なぜなら、地方自治体におけるアニマシオン部門が誕生し、アニマトゥールの専門職性が大いに重要な論点として認知されていくことになるからである。専門職性の創造といっそうの発展のために、アソシアシオンの果たすべき役割が一層期待されている。
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