本研究は、教育環境の議論が最も先鋭化する学校統合と学校選択制を取り上げ、その実施と検討過程の分析を通じて、学校教育環境の充実方策と課題を検討し、今後の学校教育環境整備の方向に関する政策的含意を得ることにある。 本年度は、学校統合に重点を置き研究を進めたが、主たる作業は以下の通りである。 1)学校統合に関する審議会答申等の収集・検討 小中学校の場合、統合の方向性を審議する審議会の他、行政側か導き出した方向に最終的判断を下す審議会の存在が明らかとなった。 2)学校統合の経緯に関する資料収集および分析 学校統合を行った4町村教育委員会への訪問調査を行い、少子化の動向、関係者の意見の広がり、統合の要因ならびに契機となる事項、統合の条件などについて整理・検討した。小中学校ともに、単式学級から複式学級への移行が重要な統合の判断時期であること、スクールバスの運行が統合条件として重要であること、新設統合の増加などが明らかとなった。 3)学校統合に伴う教育環境整備の水準に関する分析 学校統合に際して優れた教育環境整備を達成した中学校および高等学校3校の施設見学を行い、わが国における最高水準の学校施設の質的レベルならびにその構成要素を確認した。そこでは校舎面積の拡大、高質な建築材の活用、ランニングコストの上昇等に特徴がある。 4)学校施設の整備と維持管理に関する資料収集 郵送調査・訪問調査により、校舎建設費および維持管理費のデータを収集した。 5)高校再編整備の検討状況に関する資料整理 各都道府県教育委員会の公表している答申や計画書の収集と内容分析を行った。
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