少子化が進行する中、学校教育環境をいかに充実するかは、今日の重要な教育政策課題の一つである。本研究は、教育環境の議論が先鋭化する学校統合と学校選択制を取り上げ、その検討と実施過程の分析を通じて、学校教育環境の充実方策と課題を検討し、今後の学校教育環境整備の方向に関する政策的示唆を得ることを目的としている。 報告書は、第I部「児童・生徒の減少と学校数の推移」、第II部「小・中学校の統合と教育環境」、第III部「高等学校の再編整備と教育環境」から構成される。報告書の概要は以下の通りである。 第I部では、全国の公立小・中学校における児童・生徒数および学校数の市区町村別統計データの分析を行った。全国的には児童・生徒数の減少に比べ学校数の減少幅は小さいこと、特に特別区ではそれが顕著であること、町村では学校数も継続的に減少しているばかりでなく、数校をまとめて1〜2校に統合する大がかりな統合も散見されることが明らかとなった。第II部では、まず、過疎化が進行する6市町村を対象とし小・中学校統合の事例分析を行った。統合により重点的な学校施設整備が可能となっていること、スクールバス等、通学の便を確保することが統合の条件となること、まちづくりの一環として統合を行う視点が重要であることなどを示した。次に、通学区域の弾力化を行った町の事例分析を行い、通学区域の弾力化が結果として統合につながったことを明らかにした。第III部では、高等学校の再編整備の検討状況ならびに再編整備計画における最近の特徴等を整理した。
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