本年度は学校事務職員へヒアリング調査およびアンケート調査のための予備的調査を実施した。平成14年8月には、全市・特別区698の教育委員会事務局財務事務担当者へアンケート調査を実施し、576教委(政令指定都市11、中核市25、特例市34、普通市485、特別区21)から回答を得た。主な調査項目はフェイスシート、学校運営費標準の有無、学校配当予算の積算基礎、学校の自由裁量予算の有無、校長の決裁でできる支出負担行為の額、校長の決裁でできる支出負担行為の額の推移、学校財務規程の有無、等である。学校財務取扱規程(あるいは要綱)等を整備している教育委員会では学校配当予算のうち学校長の裁量で比較的自由に使用できる予算枠を設ける傾向があることなどの結果を得た。この調査の集計結果(中間報告)をもとに、平成14年10月に日本教育行政学会において口頭発表を行った。なお、今後の施策の参考となりえるよう、'単純集計の結果は研究代表者のホームページを利用してインターネット上に公開するとともに、調査への回答のあった教育委員会に対しては文書にて配布した。一方で米国の公立学校財務ないしは教育の財務運営に関する研究動向や実情を把握するために継続的に文献等を収集し分析を行った。その一環として、平成15年3月には米国フロリダ州で開催されたアメリカ教育財政学会(American Education Finance Association)に出席し、学校財務、学校を基礎とする予算編成の理論等に関する研究報告を聴取し、かつ資料収集を行い、また主たる研究者との面会によって情報収集や意見交換等を行った。
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