我が国の大学入学者選抜のための共通試験(共通第1次学力試験/大学入試センター試験)は実施以来23年間経過した。この間膨大なデータが蓄積された。しかしながら、データの利用に際しては細心の注意が必要であり、また、制度変更に伴いデータ構造に多数の修正が加えられた。このため、統一したデータ構造を構成するには多大な労力を要する。その結果、経年を通した時系列的な分析による入試データを利用した研究には制限があった。 このたび、データについて整理ができたので、経年を通した分析を試みることが可能となった。今回は、志願者の属性(性、高校の教育課程、出願先の大学・学部、受験科目等)に基づいた分析を行った。公表されている資料からは見えにくい深い構造を通して、共通試験システムの変更が志願者に及ぼす影響について、以下の視点から分析した。 (1)共通試験志願から各大学が実施する個別試験出願までの一連の受験行動の構造を明らかにすること。 (2)国公立大学・学部への出願や併願パターンの特徴を明らかにすること。 (3)共通試験の科目選択の実態を明らかにすること。 (4)推薦入学の実態を明らかにすること。 (5)志願者の地理的移動の特徴を明らかにすること。 詳細については、研究報告書を参照されたい。その中で、昭和62年度に行われた共通テスト・システムの大幅な変更の影響は多くの分析において、志願者に多大な影響を及ぼしたことが明らかとなった。
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