研究概要 |
科学研究基盤(C)の「通常の学級における自閉症児の支援マニュアルの開発と運用に関する実証的研究」は、今年度が2年目である。今年度の研究の実績としては2点ほどある。 まず1点目は,国立特殊教育総合研究所分室の一般研究「通常の学級における自閉的傾向のある児童の教育に関する研究」の一環として実施した、質問紙調査の回答者である自閉症児を指導する通常の学級担任158名を対象に、「指導マニュアル作成上必要な情報」として47項目を用意し,その優先順位の調査を実施した。その結果、自閉症児の学校生活における1日の時間系列の中で,学級担任が指導をする際に必要な情報が43項目に絞れたため,研究協力者17名と分担者によってその34項目をQ&A方式で執筆し、試案の段階であるが「通常の学級担任へ〜自閉症児の支援マニュアル(試案)」を作成した。この試案を印刷し冊子として、全国47都道府県教育委員会および教育センター等に配布した。次年度は、この試案を使用した通常の学級担任にモニターを依頼し、その結果を分析し修正した完成版を刊行する予定である。 もう1点は、2事例ではあるが特定の自閉症児のための支援「オーダーメイドマニュアル」を作成し、自閉症児を指導する通常の学級担任にモニターをしてもらい、その結果を分析し修正版を作成した。この結果については、本研究所の研究紀要30巻に、「自閉症児を指導する通常の学級担任へのコンサルテーションの実践-オーダーメイド・マニュアルを使用した事例から-」というテーマで発表している。
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