研究概要 |
この研究は,(1)博物館展示における評価と(2)博物館の事業を対象とした評価から構成されている。 (1)アイヌ文化に関する企画展における事前評価調査と事後評価調査 展示企画段階での展示内容に関する一般観覧者の印象,展示意図の受けとめを調査(事前評価調査)し,その結果を受けて展示構成や手法を修正し,より完成度の高い展示企画とし,展示をオープンさせた。完成後の展示においては,観覧者が関心を持ったテーマや観覧者に伝達した情報などを調査(事後評価調査)した。 この研究で調査対象とした企画展は,北海道開拓記念館第135回テーマ展「アイヌの生活文化」(2002(平成15)年1月11日-2月16日)と,北海道大学総合博物館第4回企画展「アイヌ民族楽器-ムックリ・トンコリー」(2003(平成15)年6月23日-7月12日)である。なお,展示完成前に試作の展示室において行う「形成的評価」を実施することができなかったため,事前評価調査と事後評価調査に変更して実施した。 (2)国内の博物館における事業評価の実態調査 東京都江戸東京博物館,神奈川県立地球市民かながわプラザ,静岡県立美術館,札幌芸術の森野外美術館などにおいて,展示を含む博物館の事業全体に対する評価についての事例を収集した。静岡県立美術館においては同美術館の協力の下,本科学研究費の交付を受けた3か年間を通して事業評価調査を,美術館職員と美術館所轄部署である静岡県生活・文化部文化政策室職員とともに研究代表者が実施した。評価が美術館経営にとってどのような効果を発揮するか実践の場で試みた。
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