当研究企画では、コロンビアの治安情勢不安のため、当初2年間ベネズエラ調査に専念してきた。第3年次にあたる本年度、はじめてコロンビアにおけるフィールド調査を実施することができた。 コロンビアにおけるアフロ系民族運動の先駆的組織であるCimarr'on、急進的かつ有力なアフロ系民族政治組織PCN、アフロ系人権団体AFRODES、先住民全国組織ONICをはじめこれらの民族運動を支援するNGOなどの本部を訪れ、コロンビアにおける少数民族問題の現状を理解するための初期調査を実施することができた。また、アンデス大学人文学部において、これまでのベネズエラ調査にかんする講演を行ない、コロンビアの研究者ならびにアフロ系運動家と有益な議論の交換を実現した。 ベネズエラにおいては、以下の活動を実現した。 -ロックフェラー財団の資金を得て2002年に実現した調査報告論集の刊行(ベネズエラ・マスメディアにおける黒人差別に関する章を分担執筆) -上記論文にもとづく講演(ベネズエラ現代美術館、アフロベネズエラ組織網共催) -ベネズエラ黒人女性連合創立メンバーAntonia Rada、前会長Reina Arratiaとのインタビュー -プエルトアジャクーチョにおける先住民運動の調査 ベネズエラ、コロンビアともに先住民運動を調査することは当初の計画にはなかった。しかし、両国ともにアフロ系運動と先住民運動の連帯が進む現在、先住民運動を視野に入れることが必要であると判断し、計画を修正した。
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