土摺り臼の保存処理法の開発

2003 年度 研究成果報告書概要

• 研究課題/領域番号: 13610373
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 文化人類学(含民族学・民俗学)
• 研究機関: 国立民族学博物館 (2002-2003); (財)元興寺文化財研究所 (2001)
• 研究代表者: 日高 真吾 国立民族学博物館, 民族学研究開発センター, 助手 (40270772)
• 研究分担者: 菅井 裕子 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (20250350) ; 伊達 仁美 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (00150871) ; 園田 直子 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 助教授 (50236155)
• 研究期間 (年度): 2001 – 2003
• キーワード: 土製文化財 / 土摺り臼 / 民俗資料 / 民族資料 / 保存修復 / 保存科学 / 民具

研究概要

本研究は、民俗資料関東で収蔵される土摺り臼の保存処理法の開発である。ここで要求される保存処理効果は、土摺り臼の主要構成素材である土部の強度を増加させ、資料の保管や活用に対応できる状態にすることであった。そこで、われわれ研究チームは、石材強化剤を用いて土部の強化を図ることを検討した。
石材強化剤を用いた強化処理実験では、強度試験の方法について検討した結果、針貫入試験を行うこととした。また、強化処理を想定した実験はあわせて3回の実験を行った。試験は、石材強化剤ワッカーOHをベースとして、強化のターゲットとなる土部に強化剤が歩留まりよく残留する効果を狙って開発されたメトキシ変成メチルシリコーンオリゴマーを混合した強化剤OM50を混合比を変えながら、強化効果と質感の維持を検討することとしたものである。
その結果、OH100とOM50の混合比が1:1で配合した強化剤とOM50の原液に顕著な強化効果が見られた。また、処理後の土摺り臼の質感の維持の観点から行った色差の結果から、配合比が1:1の強化剤において変化が少なかったことから、実際の作業には配合比1:1の強化剤を用いることとした。
本研究の成果を試験的に実際の土摺り臼に行った。その結果、十分な強化効果と質感の維持が得られ、土摺り臼の保存処理法として十分に活用できる結果が得られた。