(1)「鎖国」に関する基礎的な考察を中心に実施した。 「「寛永十年二月二十八日鎖国形成令」の検討」(「歴史情報」No5)を発表した。「鎖国」研究の最も基礎となる史料として注目されてきたのが、いわゆる「鎖国令」であるが、その正本は見い出されておらず、転写伝来したものが使用されてきた。しかし、転写伝来されたものの詳細な検討がなされていないので、収集した6本の比較検討をおこなった。「寛永十年二月二十八日鎖国形成令」は、正本は見い出されていない。6本中、同文のものは1点もなく、全てどこかに相違のある実態が判明した。使用にはこの実態を踏まえる必要がある。 「「寛永十一年五月十八日鎖国形成令」の検討」(「歴史情報」No6)を発表した。 従来、当令は、「寛永十年二月十八日鎖国形成令」の再令で、同文とされてきたので、収集した2種の「「寛永十一年五月二十八日鎖国形成令」と6種の「寛永十年二月二十八日鎖国形成令」の比較検討をおこなった。結果、同文とは言えず、寛永十年二月二十八日鎖国形成令」の発令結果を見て、別の内容を加味している実態が判明した。 (2)「異国往来」(大阪府立中之島図書館所蔵)を翻刻・紹介した(「歴史情報」No5)。 (3)金地院崇伝の「異国日記」を電子化し終えた。分析を進めている。 (4)電算機による情報処理を行うため、以前に開発した「マルチ年表システム」の改良を行った。 (5)香川大学附属図書館・堺市立図書館・大阪府立中之島図書館、その他の史料調査・収集を実施した。
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