研究概要 |
1 江戸時代成立期の対外関係文書・記録の調査・収集→(1)九州大学文学部九州文化史研究所所蔵の関係文書・記録.(2)長崎県立長崎図書館郷土史料室所蔵の関係文書・記録.(3)大阪府立中之島図書館所蔵の関係文書・記録.(4)堺市立中央図書館所蔵の関係文書・記録の調査・収集を実施した。 2 江戸時代成立期の対外関係文書・記録に関するデータベースの作成→既に開発済みのマルチ年表作システム(中山伸一教授との共同開発)を用いて、(1)対外関係書簡.(2)対外関係法令.(3)対外関係事件等についての年表データベースを作成した。 3 上記のデータベースを利用して、(1)幕府成立期の対外関係書簡.(2)幕府成立期の対外関係法令に等ついての整理と検討を行った。幕府成立期の対外関係書簡の伝来状況については、数の上では、家康の支配時代のもが最も多く、秀忠、家米の支配時代になると、目立って数が減少している実態が明らかなった。このような、書簡の伝来(残存)の状況は、外国との交渉の頻度を示すものである。すなわち、秀忠、家光の支配時代になると、家康の時のような活発な外国との交渉が見られなくなる。そして、外国からの書簡の内容で特に注目されるのは、日本船・日本人との間で起きている紛争に関する抗議である。このような事態から、例えば、所謂寛永の「鎖国令」に見られる日本船・日本人の異国渡海禁止の措置などを考えなくてはならないと思われる。幕府による対外関係法令はかなりの数にのぼるが、その正文の伝来は殆どなく、現時点では、転写きれたものを見るよりない状況である。しかし,転写のもの相互の比較検討を行ってみると、文言に微妙な相違も見られる場合もあり、また、法令の宛先が誰であるのかなど、微視的に検討を必要とする実態が明らかになってきた。
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