儀礼をめぐり朝廷(天皇)と幕府(将軍)と藩(大名)の三者が、いかなる関係にあったのかを解明することを研究目的にすえ、さまざまな儀礼が存在するなか、天皇の即位と葬儀のさいの儀礼にしぼり、幕府と藩が具体的に朝廷とどのような関係を取り結んでいたのかを、その構造と歴史的変化を具体的に明らかにすることを課題とした本研究の最後の年なので、(1)関連史料を補充的に調査すること、(2)蒐集した史料を検討して研究論文を作成すること、(3)研究成果報告書を作成すること、以上3点に取り組んだ。 (1)補充的な調査 a 東京大学史料編纂所所蔵の公家日記から、おもに18世紀末から19世紀半ばまでの朝幕間の儀礼に関わる記事を抜き出した。 b 東京大学史料編纂所所蔵「実種公記」全冊を紙焼き写真で入手した。 (2)研究論文の作成 a 近世後期の体制的な危機と朝幕関係の変化を検討した論文を公表した。 b 幕末の孝明天皇をとりあげ、天皇の君主化とその限界を指摘した論文を公表した。 c 即位式などのさいの宣命をとりあげ、近世天皇の意識を検討した論文を作成した。 (3)研究成果報告書の作成 a 研究論文編として、本研究期間に公表した論文を収録した。 b 史料編として、本研究期間に蒐集した史料のうち重要なものを翻刻した。
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