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2002 年度 実績報告書

近代日本における歴史学の制度化と歴史学部の不在に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 13610384
研究機関奈良女子大学

研究代表者

小路田 泰直  奈良女子大学, 文学部, 教授 (30186671)

キーワードランケ史 / アメリカ
研究概要

近代日本の歴史学には二つのタイプの歴史学があった。一つは重野安繹や久米邦武らによって礎が築かれた実証史学であり、今一つは、その重野や久米が帝国大学を去ったのち広がりをみせた、歴史を民族の由来の語りととらえる広い意味での「皇国史観」である。本年度はその前者の実証史学が、いったいどのようにしてこの国に導入され定着したのかを、大学制度の問題とのかかわりで検証することを目的に、調査研究を行った。そして二つのことを明らかにした。
一つは、これまで、この国へのランケ流の実証史学の導入は、ルードヴィヒ・リースを通じて直接ドイツから導入されたかに理解されてきたが、もう一つアメリカ経由の導入の存在したことを明らかにした。
そして今一つは、森有礼文政下の初期の帝国大学構想には、およそ我々の知っている帝国大学の現実とは似て非なる、応用科学中心ではなく基礎科学中心の、そして機構的には大学院中心の独特の構想の存在したことを明らかにした。そしてその大学院中心の大学構想のモデルを、森はアメリカの大学にとっていたこともわかった。ランケ史学の導入にアメリカルートが存在したのも、そのことと関わっていた。
なお以上のことを明らかにするために、本年度は、アメリカにおいてはハーバード大学を、ヨーロッパにおいてはライデン大学(オランダ)とルーベン大学(ベルギー)を訪問した。一九世紀の世界的なランケ史学の広がり中に、日本史学の成立を位置付ける基礎作業ができたと思う。

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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