(1)本研究と関連する研究発表を、沖縄県立博物館文化講座においで「近世琉球の海運と海人」と題して講演した(2002年12月)。王国末期の海船の全体状況の把握と、海運をめぐる琉球・薩摩間における紛争などを明らかにした。また、国立民族学博物館・大塚和義主催の「北太平洋の先住民交易と工芸」研究会(2003年3月)において、「琉球王国時代(15-19世紀)における琉球諸島域内・域外交易の諸相」として発表した(成果報告書に掲載予定)。その概要は、特に琉球列島域内交易史を中心に論じ、久高島民の海運と交易活動、渡名喜島民の交易活動を『南島雑話』から浮き彫りにしたものである。 (2)本研究の2年度目として、前年度に引き続き、漂流・海運史料のテキストデータの入力を行った。 第一に、既刊史料においては、奄美諸島の海運状況を把握することのできる、『道之島代官記集成』を全文テキストデータとして入力した。第二に、前年に続き未刊行の「上江洲家文書」から海運関係史料を翻刻・テキストデータを作成した。第三に、竹富町史十巻所収の、「必要書」「必要書類」中から八重山諸島における海運状況を把握する上でのテキスト入力を行った。第四に、八重山の豊川家文書中から、一八世紀中頃の八重山における(3)渡名喜島への臨地調査を行い、小型木造船の残存状況や第二次大戦後から一九七二年頃までの漁撈活動、戦前における渡名喜島から沖縄島・奄美諸島域への貝の採取活動を聞き取りで情報収集した。
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