本年度は、前年度に引き続いて17・18世紀の東南アジアにおけるオランダ東インド会社と華僑との関係史研究の基本文献となった17〜19世紀のオランダで出版されたアジア・東南アジア関係の文献の調査に加えて、江戸時代の東南アジアに対する情報・知識に関する史料として東南アジア漂流記の調査と分析を以下の手順で行った。 (1)前年度に引き続き台湾大学図書館特蔵組(貴重書庫)の調査を行い、戦前の台湾・東南アジア研究の中心であった旧台北帝国大学時代の大鳥文庫・南洋西文資料(東南アジア欧文文献)所蔵の蘭書のリストを作成した。 (2)(1)の再調査を踏まえて、前年度に引き続き天理大学附属天理図書館の調査を行い、同図書館所蔵の旧大鳥文庫洋書目録収載の蘭書リストの確認を行った。 (3)江戸時代における東南アジア関係文献として江戸時代の漂流記を取り上げ、国会図書館古典籍資料室における江戸時代の文献および国会図書館における明治以降の出版物から台湾・東南アジアへの漂流記を複写収集して分析を行った。 (4)二度にわたって東京大学史料編纂所所蔵のオランダ東インド会社関係史料マイクロフィルムの調査を行い、1636年から1655までの台湾商館年次報告・決議録の分析から、当該期の台湾におけるオランダ東インド会社と華僑商人との関係・中国本土からの中国人移民と砂糖栽培の関係史料を複写収集した。 (5)天理大学附属図書館所蔵の唐唐通事林家関係史料との比較のために、長崎県立長崎図書館において唐通事および唐船関係史料の調査と撮影とを行った。
|