本年度は、以下のとおり、国内においては前年に引き続いて近世の漂流記の収集分析を行う一方、新たにオランダにおいて17・18世紀の東南アジアにおける華僑・ジャンク船貿易とオランダ東インド会社との関係についての史料・文献を収集した。 (1)前年度の国立国会図書館古典籍資料室に加えて、新たに東京都立中央図書館所蔵(旧日比谷図書館所蔵)近藤海事文庫・島原市立図書館所蔵松平文庫・九州大学日本史研究室に収蔵されている近世における東南アジアへの漂流記の調査と撮影を行い、これらの漂流記の記事の比較分析を行った。 (2)長崎市立シーボルト記念館所蔵中山文庫においてバタビア関係の史料の調査を行った。 (3)オランダ国立文書館(旧オランダ国立中央文書館)所蔵の『バタビア一般政務報告(Generale Missiven)により、1707年から1750年までにバタビアに来航したすべての唐船(ジャンク船)に関する船主・出航地・帰航地・人数についてのデータを集めて、東南アジアにおける唐船・華僑の活動を分析した。 (4)ライデン大学王立言語・農業・民族研究所(K.I.T.L.V.)において17・18世紀の東南アジアにおける唐船(ジャンク船)貿易とバタビアおよびジャワ島における華僑の活動に関する研究文献を収集した。 (5)10月21-24日に厦門大学南洋研究所において開催された第3回オランダ文化遺産プロジェクト(T.A.N.A.P.)ワークショップにおいて、17世紀初期のトンキン貿易に関する報告(Vietnam's Jingdezhen and the VOC's Ceramic Trade with Tonkin in the 17^<th> century報告者Hoang AnhTuan氏)のコメンテーターとして参加し、東南アジアにおける唐船(ジャンク船)貿易研究の立場からコメントを行った。 (6)17世紀台湾における砂糖生産についての論文(Two Rivals on an Island of Sugar : The Sugar Trade of the VOC and Oversees Chinese in Formosa in the Seventeenth Century)が台湾における研究論文集(執筆者全17名全336頁中12頁)に収録され刊行された。
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