平成15年度は本研究の最終年度にあたり、研究成果の公表のため、いくつかのテーマごとに論文化の準備を進めた。なお、漢籍の日本将来に関する史料の収集・整理を計画していたが、研究分担者として参加している「中国法制文献の日本伝来とその伝存状況に関する基礎的研究」(基盤研究(B)、研究代表=坂上康俊)においてより長期にわたるデータ整理が行われることになったため、本研究においては取り止めることとした。 本研究の中心課題である漢籍の日本古代における将来状況に関する研究としては、(1)「文館詞林の書誌学的研究」、(2)「晋書の伝来時期に関する研究」、(3)「日本国見在書目録における唐代書籍の研究」、(4)「入唐僧の将来目録について」という4つのテーマに絞って研究を進めた。2004年度中に順次論文ないし口頭報告として発表する予定である。 また、漢籍の一種としての律令法典の継受という観点から、(1)「新唐書兵志の唐令について」、(2)「日唐官賎民の解放規定について」、(3)「『唐令拾遺補』雑令復原案の補訂について」というテーマの研究に取り組んだ。(3)は、2003年8月に九州大学文学部において開かれた『唐令拾遺補』補訂準備研究会において口頭報告した。 書籍文化の背景にある東アジア文化圏を再検討するための基礎的研究として、酒寄雅志『渤海と古代の日本』、石井正敏『日本渤海関係史の研究』の2冊について書評原稿を執筆した。
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