1.国内の戦没者追悼に関する基礎調査 (1)桜山神社の調査 桜山神社(下関市)は、幕末に奇兵隊などの戦没者を祀るために建立された。明治維新後、これをモデルにして靖国神社が創設されたという。現地調査を行い、墓標地-神殿-拝所の関係などを確認した。墓標地があたかも神殿の位置にあることが究明のひとつであることを確認した。自軍の戦没者のみを祭るという点も確認した。当時の仏教思想などとの比較が必要である。 (2)長府文書館の調査 長府文書館(下関市長府)には、下関市に統合される以前の村文書が保存されている。そのうち、兵事・慰霊などの範躊の文書を調査し、複写した。桜山神社での追悼の行事に関する調査も行った。 (3)アジア歴史資料センターでの公文書調査 アジア歴史資料センター所蔵のマイクロフィルムから、陸軍墓地や追悼関係の公文書を検索し、複写した。 2.海外の戦没者追悼に関する基礎調査 (1)韓国における軍人・戦没者追悼の調査 近代国家における軍人や戦没者の追悼を考察しようとするとき、日本以外の国家におけるそれらの認識が求められる。そのため、まず韓国の調査を行った。二〇〇〇年11月、まず日本の旧陸軍墓地所在地を確認する作業を行った。結局、墓地は現存せず、教会となっていた。また、「国立墓地」が、ソウル市南郊に所在していることがわかり、その調査を行った。 (2)台湾における軍人・戦没者に関する基礎調査 台湾では、どのように行われているかを調査した(2月28日〜3月3日)。2箇所(台中県大甲、彰化県)では「軍人公墓」、台北市では一般墓地と「聯勤軍人公墓」の調査を行った。現地での協力者と、日本から同道した協力者によって、係員などの聞き取りも行った。台北市では葬儀に参加した。
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