1.第一次世界大戦の戦争墓地を現地調査。(日程)2003年8月16日から30日まで。(主な調査地)イープル(ベルギー)、ソンム地方(フランス)、ロンドンと周辺(イギリス)。ベルギーとフランスで調査した、戦争墓地と追悼祈念碑は16ヶ所。ロンドンと周辺で数カ所。(所見)ベルギーとフランスには、第一次世界大戦の戦争墓地が、参戦各国ごとに設けられている(英仏のほか、ドイツ、オーストラリア、アメリカなど)。その先鞭を付けたのはイギリスで、中心になったのはフェビアン・ワーレという元ジャーナリスト。イギリスが戦後、戦争墓地の建設を始める経過を、現地で収集した文献からまとめたのが、論文「第一次世界大戦と大英帝国の戦争墓地」。続編を検討中。 2.アメリカ合衆国に於ける軍用墓地を現地調査。(日程)2002年7月28日から8月10日。(主な調査地)アーリントン、ゲティズバーグ、リンカーン、ロングアイランドなど約10ヶ所の国立墓地。 (所見)イギリス国内には軍用墓地はないが、アメリカ合衆国にはある。各州に1ヶ所以上設置されている。とりわけ注目されるのは、首都ワシントンにあるアーリントン国立墓地である。最初に設置されたのは、南北戦争後のゲティズバーグ国立墓地(ペンシルバニア州)。最大の広さを持つのは、ロングアイランド国立墓地(ニューヨーク州)。これらを中心に、国立墓地と追悼祈念碑を調査した。アーリントン国立墓地での埋葬を希望するもと軍人が多いのは、その儀式性にある。葬式にも参加した。墓標も調査した。平等の十字架になるのは、朝鮮戦争後から。 3.欧米の埋葬・追悼と比較するため、台湾での埋葬・追悼祈念碑を現地調査。(日程)2002年2月28日から3月3日。(主な調査地)台北の忠烈祠、軍人公墓(五指山)、台中の忠烈祠、忠霊塔など。 (所見)現地調査のほか、管理者の聞き取りも実施。アーリントン国立墓地をモデルにしたような、軍人のみの埋葬墓地である国軍示範公墓が、台北郊外の五指山に存在した。一山総て軍人の墓という光景は、異様であった。それ以外に、軍人のみを葬る施設として、台湾全土に16ヶ所の軍人公墓と忠霊塔が設置されている。 4.以上をまとめた報告書の作成、研究書の発行を計画している。
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