本年度の研究実施計画は、(1)沖縄・東京等に出張し、印刷状態の良い『八旗則例』等を調査してマイクロ焼き付けその他の方法で入手すること、(2)中国や日本等で出版されている法制史や藩部関連の書籍を引き続いて収集すること、(3)ウランバートルで法制史史料を調査すること、(4)北京の中国第一歴史档案館にて康煕6年の蒙古例集成法典を調査すること、の計4点であった。 この内(1)についていうと、沖縄県公文書館では清朝に関する多くの档案史料を閲覧できたが、東京では印刷状態の良い『八旗則例』が発見できず、逆にまもなく中国から『八旗則例』の影印本が出版されるという情報を入手できた。マイクロよりも安価なため、出版され次第購入することとする。(2)については順調に収集が進み、英米で出版された八旗関連の研究書も収集できた。(3)と(4)については、ウランバートル、北京と、まとめて出張し、まず、モンゴル国立中央図書館にて、イフシャビという宗教身分の人々に対する判例集『オラーンハツァルト』の原本を丹念に調査することができた。また北京では、新発見された康煕6年の蒙古例集成法典の原本を、予定通り丹念に調査することができた。 総じていうと、本年度はモンゴルと中国での文献調査が実にスムーズに進み、大きな収穫があった。しかし、その一方で国内での調査は、沖縄を除いて、短期間で時間的余裕がとれなかったこともあり、なお不足している。その分が来年度の課題となろう。
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