初年度から各種民族立法の法典収集作業を実施している。まず、東洋文庫等に所蔵されている『八旗則例』の版本は印刷があまり明瞭でなくマイクロフィルムでの取り寄せを見合わせていたが、今年度になって幸いなことに中国から『八旗則例』を含む中国史上の少数民族向けの法典集がまとめて出版され、マイクロフィルムよりも安い費用で、他の時代の有用な法典とともに無事購入することが出来た。これで、根本法典としての『大清律例』、モンゴル人用の「蒙古例」、ウイグル人用の『回疆則例』、チベット人用の「西蔵通制」と並んで、八旗の旗人向けの初期の法典が準備できたため、民族別の法典の比較検討にようやく着手することが出来るようになった。本年度時点での現在の所の感触としては、『大清律例』と「蒙古例」にのみ具体的な刑法規定が見られ、他の法典は、やはり行政規定が中心であるように思われる。この問題に関しては、もう少し検討してからより具体的な結論を出したい。 次いで、『欽定中枢政考』、『欽定兵部処分則例』等の八旗に対する後の時代の法典に関しては、今年度東京や仙台に出張して東洋文庫等で調査することが出来たが、なお、より詳細な調査が必要である。従って、来年度東京での再調査を実施するとともにマイクロフィルムでの収集をも検討したい。 また、以上のような研究成果をまとめるために、今年度はプリンターとパソコン周辺機器を購入した。
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