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2001 年度 実績報告書

日中戦争期における上海に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 13610429
研究機関日本大学

研究代表者

高綱 博文  日本大学, 通信教育部, 教授 (90154799)

キーワード上海 / 上海日本人居留民 / 上海日本人引揚者 / 上海ノスタルジー / 帝国意識
研究概要

私はこれまで史料文献が極めて少ない上海の日本人コミュニティを解明する方法の一つとして聞き取り調査を重視し、戦前上海において居留民として生活していた日本人及び彼らと関係していた中国人・朝鮮人を含む30名近くの方々から聞き取りを行ってきた。この上海日本人居留民関係者聞き取り調査の(1)目的と意義(2)実施要綱(3)聞き取り調査結果の概要を論述した拙稿「オーラル・ヒストリーによる上海日本人居留民史研究」(日本上海史研究会編『上海史研究の新たな模索』2001年7月)を発表した。上海日本人居留民関係者聞き取り調査から、彼らにとって上海イメージは複雑な様相を示しており、それは上海を体験したときの年齢、ジェンダー・エスニシティーの問題、職業といった様々な要因と関係していることを指摘した。
私は上記のような聞き取り調査を行っているが、戦前の上海に生れ育った上海引揚者たちの多くは上海を「わが故郷」と呼び、上海での子供時代・学校生活などを懐かしそうに目を輝かせて語ってくれた。私は上海日本人居留民の生活実態を明らかにする目的で聞き取り調査を始めたのであったが、彼らにとって上海の記憶がいかなる意味を持つのかという感情の問題を理解することなしに、上海日本人居留民についての客観的事実も十分究明できないことに気がついた。そこで上海日本人居留民の引揚者たちの「上海ノスタルジー」という感情の歴史的な形成過程を検証した研究を行い、「上海日本人引揚者たちのノスタルジー」と題する論文にまとめた。同研究の一端は2001年12月に上海档案館主催の国際学術シンポジウム『租界与近代上海』において「『我的故郷・上海』的誕生」と題して発表した。また、完成論文「上海日本人引揚者のノスタルジー」は財団法人東洋文庫『近代中国研究彙報』第24号(2002年3月)に掲載される。
また、『アジア遊学-特集上海』第33号(勉誠出版、2001年11月)は私が全面的に企画・編集したものである。この特集の一つの柱は、近年の上海都市社会の大きな変容を歴史や文化に関係づけて論じることであり、いま一つの柱は日本人にとって上海とは何であったかを論じることにあった。本誌において私は「オールド上海と日本人」をテーマに甫喜山精治(上海日本居留民団立学校幹事)・古厩忠夫(日本上海史研究会代表)両氏と鼎談を行い、その記録を掲載した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 高綱博文: "オーラル・ヒストリーによる上海日本人居留民研究"日本上海史研究会編 上海史研究の新たな模索. 64-70 (2001)

  • [文献書誌] 高綱博文: "上海日本人引揚者たちのノスタルジー"財団法人東洋文庫 近代中国研究彙報. 第24号. 1-29 (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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