研究課題
基盤研究(C)
本研究は四年間にわたって行われた。当初の目的はバトゥの侵入から、いわゆる「ウグラ河畔の対峙」(1480年)までの240年間を全体としてとりあげ、その歴史的意味を明らかにすることであった。本研究の成果は質量ともに相当なものとなったと自負している。ただし本研究が当初の計画を達成したかという点では反省が残った。すなわち、本研究はモンゴル支配期のなかでももっぱらその初期の支配の成立過程を考察するに留まった。その理由は第一に史料、とくに様々な年代記史料の調査が予想以上に複雑で、膨大な時間を要するものであったこと。第二に、研究状況が錯綜し、文献も膨大でその調査に忙殺されたことである。とりわけ、モンゴル支配の成立に際して決定的役割を果たしたと本研究がみる、大公アレクサンドル・ネフスキーの研究に着手せざるを得なくされたことが大きかった。それにもかかわらず、本研究の結果、次のような成果がえられた。第一に、モンゴル支配はバトゥ侵入後十数年を経て徐々に形成されたこと。その際決定的であったのは、戸口調査と徴税システムの導入であった。第二に、その後のモンゴル支配の構造はバスカク制に基づいていたが、その実態が必ずしも明らかでないバスカク制とは何か、史料に基づきある程度明らかにしたこと。第三に、最大の成果として、モンゴル支配の樹立にはアレクサンドル公の役割が決定的であったことを示しえたこと。ロシア民族主義、愛国的精神のなかで英雄視されるアレクサンドル公の実像が、諸年代記、『アレクサンドル・ネフスキー伝』等の分析から、ほぼ示されたこと。以上である。
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