研究概要 |
本年度は、補助金支給初年度中の平成14年2月20日から3月16日まで渡英した際に収集した資料を論文にまとめる作業から開始した。7月末までに、「アヘンの国際的取締とイギリス帝国-1925-40年の海峡植民地を事例として」という論文を作成し、主要雑誌である『歴史学研究』に投稿した。幸に、採用が決定され、掲載を待っている状態である。 平成14年の8月には、1906年のイギリス自由党内閣成立時から、第一次世界大戦までのアヘンの取締について調査を開始した。まず、British Foreign Office, The Opium Trade全6巻の読破から開始し、9月2日から18日には、夏休みを利用し再び渡英して、大英図書館、ロンドン大学図書館、英国公文書館などで関連文書を収集した。イギリスでの取締強化には、アメリカ合衆国がフィリピンを領有して以来の政策が影響していたこと、イギリス人とアメリカ人でアヘン吸煙や東アジアに関する認識に相違のあることがわかってきた。現在は、この調査に基づき、論文を執筆中である。 本研究は、平成13年10月下旬に採択の通知を受けたものであるが、平成13年4月から課題採択までの間に自力ですすめていた研究の成果が、イギリスのケンブリッジ大学出版局から出されている主要雑誌に掲載されたことも報告したい。Harumi Goto-Shibata,'The International Opium Conference of 1924-25 and Japan',Modern Asian Studies, vol.36, part 4 (Oct.2002), pp.969-991である。 また、この論文で取り扱った会議の時期に駐英大使をつとめ、アヘン問題について積極的に発言をした林権助について論文をまとめた。これは、前駐日イギリス大使コータッツィ卿の編になる書物(平成16年出版予定)の1章として掲載される。
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