本研究は、平成13年10月下旬に採択の通知を受けたもので、実質的研究期間は2年半であったが、その間に以下のような調査・研究を行い、直接的に関連のある論文を3本、および単行本の1章を執筆した。 平成13年度は、先行研究の収集整理から開始し、まず、'The International Opium Conference of 1924-25 and Japan'という論文を執筆した。これは、国際連盟が主催したアヘンの取締に関する国際会議を扱ったものである。この論文によって、1920年代半ばのイギリス領海峡植民地ではアヘンからの歳入に財政が大きく依存していたことがわかったので、平成14年2月から3月にかけて渡英した際には、海峡植民地における1940年にかけての状況を調査した。 平成14年度には、まず、前年に収集した資料に基づいて「アヘンの国際的取締とイギリス帝国」という論文を執筆した。その後、8月に渡英し、第一次世界大戦までのイギリスにおけるアヘンの取締、イギリス人がアヘンの吸煙やアヘンを吸う中国人をどのように見ていたのか、に関する資料を収集した。また、前年に英文論文を執筆した際に、1924-25年国際アヘン会議の際の重要人物が林権助駐英大使であることがわかったので、林について調査を行い、英文の論考を執筆した。 平成15年度には、前年夏に収集した資料に基づいて「アヘンの規制と英米の攻防」という論文を執筆した。さらに、1924-25年の国際アヘン会議の後、大日本帝国におけるアヘンその他の麻薬取締をイギリスがどのように見ていたのかを検討した。この検討と、すでに執筆していた「アヘンの国際的取締とイギリス帝国」という論文をもとに、平成16年1月には、ロンドン大学歴史学研究所で'The British Empire and the International Control of Opium Smoking'という発表を行った。最後に、冊子体の研究成果報告書を執筆し、研究をとりまとめた。
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