研究課題
基盤研究(C)
本研究は、新たな視点からノルマン征服を見直そうとするものであり、征服がイングランドを大陸ヨーロッパと結びつけ、各方面でグローバル化を進めていった過程を明示し、11・12世紀ヨーロッパ全体の中でイングランドを歴史的に位置づけることを目指した。山代は、11・12世紀ヨーロッパ全域におけるノルマン人の活動を跡づけながら聖地巡礼と征服・移住活動との結びつき指摘し、北西ヨーロッパ地域の聖戦としてのノルマン征服を正当化するために作成されたバイユー=タペストリーが、共通のキリスト教的価値観として神罰概念を用いていることを究明した。また、教会改革運動を「グローバリゼーション」とみなしながら、その波がイングランドへと及んでいったとき、具体的な改革目標に関して国王や大司教・司教レベルでどのような対応が取られたのかを探り、小教区レベルでは地方の伝統的慣例(ローカリズム)とのせめぎ合いを引き起こしていった様子をイースト=アングリアのノリッジ司教区について解明した。宮城は、ノルマン征服後、イングランドでの市の漸次的増加が、遠隔地商業と在地商業の重層的な展開によって支えられた商品流通の活発な展開=中世ヨーロッパ経済のグローバル化を背景として生じた現象であったこと、また、中世ヨーロッパ経済がグローバルな規模で展開し始める当該期に、イングランドは征服を契機に大陸との関係を深めていくのであり、前代の古い土地経営の形態を残しながらも、領主経済の拡大と人口増加に伴う土地需要の高まりを背景に所領の荘園的再編成が加速度的に進み、直営地と賦役負担地の分離、さらには自由保有地の慣習的保有地への転換が同時平行的に進展したことを明らかにすることができた。
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西洋史学報 32(発表予定)(印刷中)
ノルマン征服とグローバリゼーション(本科研成果報告書)(課題番号13610451)
ページ: 104-119
Review of Western History 32(in print)
Norman Conquest and Globalization (The Final Report of the Research Project, Grant-in-aid for Scientific Research No.13610451)
史料が語る中世ヨーロッパ(國方敬司・直江眞一編)(刀水書房)
ページ: 367-389
The Middle Age through Historical Documents(Keiji Kunikata and Shinichi Naoe ed.)
広島大学大学院文学研究科論集 63
ページ: 33-50
西洋史学報 30
ページ: 1-22
The Hiroshima University Studies, Graduate School of Letters 63
Review of western History 30
西洋史学報 29
ページ: 1-21
広島大学大学院文学研究科論集 62
ページ: 61-78
危機をめぐる歴史学-西洋史の事例研究-(山代宏道編)(刀水書房)
ページ: 229-249
Review of Western History 29
The Hiroshima University Studies, School of Letters 62
Historical Study of Crisis : A Case Study of Occidental History(Hiromichi, Yamashiro ed.)(Tousuishobo)
広島大学大学院文学研究科論集 61
ページ: 55-71
The Hiroshima University Studies, Graduate School of Letters 61