今年度は、昨年度から引き続いて、セーヌ=マリティーム県文書館(以下、ADSMと略記)所蔵のマレショーセの裁判文書を読み進めることにより、マレショーセの警察としての機能と裁判所としての機能について解明を進めた。その成果の一部は、「ある地方警察の誕生-オート=ノルマンディー地方の新生マレショーセの揺藍期-」として論文にまとめ、学会誌に投稿したが、書き直して再投稿となり、現在、内容を再検討中である。 上記はマレショーセの機能の実態の解明であるが、我々の研究には、この作業と平行して、当局がマレショーセの職務内容をどのように規定していたかの把握が必要不可欠である。この点については、陸軍歴史課文書館(以下、SHATと略記)所蔵の「マレショーセの職務に関する訓令」(全5巻)が最も基本的な文献であり、現在、この史料を読み進めている。 また、SHAT所蔵の文書により、18世紀前半期の同地方のマレショーセの成員名簿を作成した。この名簿は、参考資料として日本以外での参照に耐えうるように、改題とともにフランス語で書かれている。
|