マレショーセは、アンシァン・レジーム期フランスにおいて、主として田園地帯、幹線道路上の治安維持を担う軍隊組織であり、同時に、プレヴォ専決事件を最終審として裁く裁判組織(プレヴォ裁判所)でもある。18世紀のオート=ノルマンディー地方のマレショーセについて、当該研究期間に得られた成果は主として以下の3つである。 第1に、マレショーセの組織(人的編成、成員、組織運営)について、2度の研究会・学会報告を経て、「ある地方警察の誕生-オート=ノルマンディー地方の新生マレショーセの創設-」のタイトルで論文にまとめた。学会誌に投稿するため、現在、構成、内容を再検討中である。 第2に、18世紀前半期の成員リスト(仏文)を作成した("Liste du personnel de la marechaussee en Haute-Nomandie(1720-1750))。近く公にする予定である。 第3に、ヴァンセンヌの陸軍歴史課文書館の史料「マレショーセの職務に関する訓令」(5部構成5分冊)の主要部分を読み終えた。第4部が欠落しているものの、この史料は警察組織、裁判組織としてマレショーセが担うべき役割を具体的に示しており、今後の我々の研究に欠かせない史料である。 以上の3点については、研究成果報告書に掲載した(「訓令」については目次のみ)。 また、平成13年夏と平成14年夏、フランスに赴き、現地の公文書館でマレショーセの職務(裁判管轄・訴訟手続、警察活動、裁判所の活動)に関して史料を読み進めた。さらに、平成14年11月からは文部科学省の在外研究(10ヶ月間)の機会を得て、フランスでの史料収集をさらに進めることができた。これら現地での作業の成果は、近く、論文や史料紹介として公にするつもりである。
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