平成15年度は、下記1.、2.および3.の研究をおこない、以下の研究成果を得た。 1.サヌカイト原産地遺跡の調査 香川県サヌカイト原産地について、金山および五色台赤子谷地区において、組織的に分布調査をおこなった。調査では、原産地の各地点におけるサヌカイトの産状、石材採取遺跡の有無、サヌカイト原石面の特徴について、GPSによる位置測定、産状などの写真等による記録、資料のサンプリングによりおこなった。これにより、原産地の地点ごとの様相についての貴重なデータが得られた。 2.サヌカイト利用遺跡の調査 西日本各地域の旧石器〜弥生時代におよぶ遺跡の石材利用、サヌカイト利用状況についての調査をおこなった。主要な調査遺跡としては、旧石器時代では岡山県蒜山原遺跡群、広島県冠遺跡群、情島遺跡、縄文時代では広島県帝釈峡遺跡群や島根県地域などの石材利用状況についてのデータを得た。なお、弥生時代では、鳥取県地域、岡山県中国山地地域のサヌカイト原材資料についてのデータを得た。また、基礎的研究として、広島地域の縄文時代石器資料についての集成作業をおこなった。 3.サヌカイト原産地(1.)および利用遺跡(2.)で収集した資料の分析・比較検討 サヌカイト原産地で明らかとなった原石面の特徴と、遺跡出土石器に残された原石面の比較検討をおこない、両者に対応関係が窺われ、原石面も石材採取地を特定する参考データとすることができる見通しが得られた。また、従来サヌカイト・安山岩の利用産地のデータが少なかった、広島湾岸地域石器類の産地推定についても研究をおこなった。 特筆される成果としては、1.の金山調査において、北西麓地域において、大規模な石材採取遺跡が存在していることを示すデータが得られたことである。
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