本年度の研究実績は次の通りである。 1 「正倉院文書」における助数詞の種類と用法につき、全体像の把握できる総合リストを作成した。 2 「正倉院文書」における主要な助数詞につき、細かな検討を行った。 1、対象毎の考察(1)衣服類(2)履物類(3)穀物・蔬菜類(4)海藻類(5)塩(6)建物類(7)筆(8)墨(9)机類(10)屏風(11)仏像(12)誦数(13)幡(14)船舶2、助数詞毎の考察(1)了(2)根(3)籠・古(4)隻・雙(5)面(6)顆・果 3 「平城宮跡出土木簡」に見える助数詞を網羅し、総合リストを作成し、助数詞個々の用法の検討を行った。 ここには、「藤原宮跡出土木簡」、「飛鳥宮跡出土木簡」、また、各地方の出土木簡などにおける助数詞も併せて収集した。 4 上記に関連し、文書語の考察、古代中国・朝鮮半島などの文字資料の考察などを行った。 以上により、7世紀末から8世紀、及び、9世紀初めにおける日本語助数詞の、ほぼ全容が、今般、初めて把握できたことになる。 この成果は、国語学研究上、これまで空白となっていた分野を埋める大きな収穫である。と同時に、これをもって、木簡・文書等の解読・研究にあたる木簡学・文書学、国史学、その他に大きく貢献することができるであろう。
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