助数詞は、類別詞ともclassifierとも称される性格をもつ語詞であり、日本語の数量表現において重要な働きをなしている。本研究は、この助数詞につき、次のような調査成果と研究成果を得た。 1、8世紀の日本語における助数詞の用例を総合的に収集・調査した。 2、調査資料は、(1)正倉院文書全体、(2)藤原宮出土木簡・平城宮出土木簡の、今日報告あるもの全て、(3)その他の入手できる木簡資料の全て、である。 3、その用法調査として、(1)衣類、履物類、穀類・蔬菜類・果物、海藻、塩、建物、筆、墨、机、屏風、仏像、数珠、幡、船舶類を対象とする助数詞を選び、詳細な検討を行った。 (2)助数詞の「了」「〓」「根」「籠・古」「隻・双」「面」「顆・果」を選び、詳細な検討を行った。 4、この研究において、日本語の助数詞というものは、7世紀の律令国家樹立整備期に、中国古代の"文書行政"の導入とともにもたらされた文書語(書記言語)の一つであると結論するに至った。但し、中国古代の文書行政は、7世紀以前に朝鮮半島経由でもたらされた古いタイプのものがあり、これとともに伝えられた、より古いタイプの助数詞も存在している。
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