今年度は本研究の当面の目標である「読本出版書目年表(予備版)」を作成するために、調査用のパソコンやデジカメの購入、高速プリンタの導入設置など備品設備を整えることから始めた。研究分担者との調査やデータの記載方法に関する綿密な打ち合わせの後、代表者は夏休みにソウル大学校に長年所蔵されてきた旧京城大学の旧蔵書の調査をし、所在の知られていなかった山東京山作読本の自筆稿本を確認するなどの成果があった。また、秋から冬にかけての休暇を用いて、代表者による秋田県酒田市光丘文庫や、分担者による八戸市立図書館南部家旧蔵書の書誌調査をし、基礎的なデータの収集に努めた。 他方、年間を通じて、個人蔵の資料に関しても架蔵されている資料の調査とデータの収集(一部はデジカメによる撮影)を続け、また国公立の機関や図書館に蔵する資料に就いても、必要な標目に就いては紙焼写真の収拾などを行った。 昨今、大学改革の嵐の中で多忙な本務に追われて、思った通りの時間が確保できなかったために、予定していた標目数の調査を終えることが出来なかったが、来年度へ向けて尚一層努力したいと思う。ただ、今年度の調査から、所謂長編物の書誌記述に就いては、大幅に予定していた項目数を減らして扱わなければ、とても準備版には間に合わないなどの問題点も判明しつつあり、さらに長期的な研究計画の見通しをたてる必要が確認できた。 なお、現在は今年度の成果を踏まえたデータの整理をしており、来年度当初にはそれらを分析して、調査計画を練り直すことにする。基本的には準備版の作成ということが目標ではあるが、所在の知れている資料に関しては、可能な限り原本で確認するという原則は崩さずに進めていく予定である。
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