1.出版物3点を刊行した。 (1)平成13年度では、報告者のホームページに入力していた俳諧一枚摺のデータベース49点を冊子化し刊行した。書名は「俳諧一枚摺の世界」で、和文・英文併記。内容は俳諧一枚摺の概略・変遷などの解説を付し、カラー図版2ページ、本文49点すべて図版で載せ、解題を加えた。ホームページと併せ、一般の人々、また英文併記は国際的にも役立つものと確信する。 (2)平成14年度では、ぺりかん社刊『江戸文学』25で「特集、多色摺の歴史と俳諧一枚摺」の監修者となり、全216ページの編集を行い、「多色摺の歴史と俳諧一枚摺をめぐって」と「歳旦帳・絵俳書・多色摺絵俳書」の2篇の論文を執筆した。後者では、とくに絵俳書・多色摺絵俳書の歴史的な展開を具体的に図版を示して述べた。この特集では俳諧一枚摺を江戸文学の中に位置づけ、俳諧と絵画の学際的な研究の必要性を強調した。 (3)平成15年度では、石川県立図書館に収蔵された「月明文庫」(歳月明旧蔵)の俳書約3千点の整理と目録化を行なった。この文庫には貴重な絵俳書が多く、また金沢地方の俳書一枚摺も入っている。 2.絵俳書・俳諧一枚摺の資料収集 主要なものを示せば、絵俳書では(1)寸長『宝暦五年歳旦帳』(1755年)、(2)柳坡『煮酒』(1794年)、(3)巣兆『あをたづら』(1812年)があり、俳諧一枚摺では、(4)蕪村大黒天図(1783年)、(5)買山関係44点(1764〜1800)などがある。いずれも貴重な資料である。 3.論文執筆・講演 「蕪村の大黒天」「小林永濯の俳諧一枚摺」他論文を発表。また、研究課題で講演を2度行なった。 4.図書・文庫での資料閲覧 各地の図書館・文庫の資料を閲覧。金沢市前田土佐守家資料館などで成果を得た。 以上が研究成果の概要である。
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