科学研究費の認下があったのが2001年10月半ばということもあり、当初提出した計画を遂行するには半年近くの遅れをとることになった。 まず、着手したのは2001年より遡って1950年に到る半世紀分の、ハンセン病関連書のリスト作成と、その中から女性の著作になるもの、またはジェンダー視点に注目したものをリストアップし、当効文献を精査することであった。 詳述は別稿を期すが、ハンセン病の医療従事者には小川正子や神谷美恵子等の女性が多く、かつ彼女らの著作物がその文学的質の高さとあいまって、ハンセン病を社会に認識させる上で大きな影響力を有した点が見のがせない。 また〓者として療養所に暮らしながら文学の創作を〓にして自己形成して行く女性表現者の活動については、その著作物や生き方に触発されて第三者が小説化・劇化する流れが確認できた。ここには文学テクストの再生産とジェンダーにかかわる重要な問題が看取できる。 東村山の全生園への聴きとり調査も随時、進行中である。 来年度には総合的学習への教材提示と、論文執筆を予定している。
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