平成13年度は、奄美諸島の沖永良部島と沖縄本島各地で英雄伝説に関する実地調査を行った。調査は、第1回平成13年8月3-7日沖永良部島、第2回8月8-20日・第3回12月6-11日・第4回14年3月14-17日沖縄本島各地の計4回行った(総計28日間)。奄美諸島では、沖永良部島で世之主と称される人物の伝説を調査した。世之主は琉球北山王の二男とされ、南島の英雄伝説を考察するうえで非常に興味深い問題を提起している。沖縄本島各地では、英雄伝説の中核をなす琉球国歴代王統の始祖たちに関する伝説を以下の通り実地調査した。舜天王統……舜天の父源為朝が上陸した地とされる運天(今帰仁村)、為朝と山南王の妹が会ったという和解森(糸満市)、山南王歴代の居城という南山城(糸満市)、為朝の再来を母と舜天が待ったという牧港(浦添市)、舜天の母の墓があるという大里城(大里村)、第3代義本王の墓がある辺土(国頭村)で調査。英祖王統……英祖の先祖の墓という伊祖の高御墓(浦添市)、英祖の居城があったという伊祖城(浦添市)で調査。察度王統……察度の父奥間大親が天女と出会った地という森川(宜野湾市)、察度が生まれた地という謝名西森御嶽(宜野湾市)、察度の住居址という黄金宮(宜野湾市)、察度の子孫我如古大親が住んだという我如古城(宜野湾市)、舜天〜察度三王統の居城という浦添城(浦添市)で調査。第二尚氏王統……尚円が滞在したとされる宜名真・奥間(国頭村)で調査。さらに、各地図書館で関連資料を調査研究した。本研究課題に関する論文は複数投稿中。また、本研究課題に密接に関連する「伝説」に関する研究として後醍醐天皇伝説の調査を行い論文にまとめて発表した。なお、備品100千円は書籍、消耗品50千円は録音用ディスク、国内旅費250千円は第2回調査で使用(277千円、他回は私費)した。
|