平成14年度は、奄美諸島・沖縄諸島・八重山諸島で英雄伝説に関する実地調査を行った。調査は、第1回平成14年8月1-7日沖縄県の久米島、第2回8月8-20日沖縄県八重山諸島の石垣島と波照間島、第3回12月12-16日鹿児島県の奄美大島と加計呂麻島、第4回15年3月9-11日沖縄本島の佐敷町の計4回行った(総計28日間)。奄美諸島では、第一次大島討伐に関係したという与湾大親五郎と子の糟中城、第二次大島討伐に関係したという名柄大親八丸などに関する伝説を奄美大島と加計呂麻島で調査した。奄美の討伐関係伝説の調査から、琉球王朝が琉球文化圏北端の奄美諸島を服属させてゆく過程の一端がうかがえた。沖縄諸島では、久米島の具志川按司、堂の比屋、チンベーなどに関する伝説を調査した。久米島の按司伝説の調査から、琉球王朝が沖縄本島周辺の離島を服属させてゆく過程の一端がうかがえた。また、沖縄本島の佐敷町では、第一尚氏王統の佐銘川大主・尚思紹・尚巴志などに関する伝説を調査した。沖縄県八重山諸島では、琉球王府の支配に抵抗したオヤケアカハチと、同時代の土地の英雄であった平久保加那按司・仲間満慶山英極・長田大主・明宇底獅子嘉殿などに関する伝説を石垣島と波照間島で調査した。オヤケアカハチの討伐関係伝説の調査から、琉球王朝が琉球文化圏南端の八重山諸島を服属させてゆく過程の一端がうかがえた。さらに、各地図書館で関連資料を調査研究した。本研究課題に関する論文は複数発表・投稿中。なお、備品100千円は書籍、消耗品50千円は録音用ディスク、国内旅費250千円は第2回調査で使用(275千円、他回は私費)した。
|