1、「佛舞」が我が国の11社寺に伝承されていることを突き止め得た。その内、行道のみで舞の伴わないものが2社寺あり、多くの演目の中の1つのパートとして舞われる7寺のもの等を除けば、独立した純然たる「佛舞」が奉納されるのは、舞鶴・松尾寺と福井・糸崎寺の2寺にしかないことも判明した。 さらにこの内、省略の少ない貴重な舞を伝えるものは、福井市糸崎町の糸崎寺に伝承されるものである。 2、「佛舞」を伝承する社寺の中で、唯一縁起を有するのが糸崎寺である。この「糸崎寺縁起」に記されている中国の育王寺が旧浙江省〓県(杭州寧波)の阿育王寺であることを実地調査等により確認した。 現在、この寺院に「佛舞」は伝承されていないが、西蔵・雲南地方にルーツのあることが判明した。したがってこれは、次年度以降の調査によって解明されていくものと思われる。 3、現在の中国にも存在しない「佛舞」舞い手であるダゴ佛(打鼓佛)の持っ道具が、敦煙の壁画(莫高窟112窟南壁)に描かれている「反弾琵琶舞」のものとほぼ同じものであることが判明した。 以上のように、我が国における「佛舞」の全体像及び、そのルーツ等がほぼ判明した現在、初期の目的である「佛舞」の舞い佛達の動態解析を頭・手・足を中心に解析中であり、これを次年度中に纏め上げる予定である。
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