まず、中国語の「構文」研究の一環として、構造助詞の"的"が述語動詞に付加されるタイプの構文、すなわち"的"構文に関して言語データの収集と先行研究の収集・検討を行い、先行研究の不備を明らかにするとともに、従来見過ごされてきた"的"構文の文法的、意味的および語用論的特徴に関する新たな知見を獲得した。さらにそれらの知見をもとに理論的分析を行い、"的"構文の構文的意味とそれをもたらす文法的メカニズムを明らかにし、従来中国語学の分野で懸案とされてきた"的"構文の構文カテゴリにおける位置づけを明確にした。研究成果の一部は第11回国際中国言語学学会(平成14年8月21日、愛知県立大学)、第52回日本中国語学会(平成14年10月26日、金沢大学)および第2回ケント・リッジ国際中国言語学円卓会議(平成14年11月29日、愛知県立大学)等において口頭発表ならびに招待講演のかたちで公表し、さらに「"的"の機能拡張--事物限定から動作限定へ」としてまとめた。 また、事態認識に関する研究の一環として、アスペクトに関する対照研究を行い、日本語、朝鮮語との対照を通して、中国語アスペクトの意味論的特徴を分析した。成果は「テンス・アスペクトの比較対照--日本語、朝鮮語、中国語」(共著)として公表した。
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