『元刊雑劇三十種』のうち、「紫雲亭」「陳博高臥」「趙元遇上皇」の三つの作品について、本文の校訂、訳注を作成し、特にその曲辞の部分に宋金元代の詩や詞等、古典文学の影響がどのようにあらわれているかを考察した。また金代の詩人、元好問の作品について、同時期の南宋の詩人特に江西詩派との間にいかなる共通性があるかについて初歩的調査を行った。この他、龍谷大学所蔵、室町後期〜江戸初期間の写本、元の郭居敬撰『百香詩選』は、従来学界に知られていなかったものであるため、それについての基礎的な調査を行い、その宋元代文学に占める地位について考察した。また元雑劇「盆児鬼」について、説話文学的観点からその内容についての考察を行った。
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