海外共同研究者の二氏(田本相、宋宝珍)を日本に招聘し、6月29日に中央大学多摩校舎において、中国「早期話劇」研究シンポジウムを開催した。研究代表者(飯塚)は、日本における中国「早期話劇」研究文献目録を提示し、「日本における中国早期話劇研究概観」と題する報告(中国語)を行なった。研究分担者(瀬戸)は、「文明戯研究の諸問題-近年の袁国興と黄愛華の研究成果を中心に」と題する報告(中国語)を行なった。また、海外共同研究者はそれぞれ、「文明戯研究の方法と意義」(田本相)、「文明戯誕生の歴史的原因」(宋宝珍)について発言した。比較的小規模のシンポジウムではあったが、日中両国の研究者の早期話劇(文明戯)観を示し合い、相互の認識を深めるという意味で成果は大きかった。なお、研究代表者は、このシンポジウムでの報告の内容を修正・増補し、11月にマカオで開催された第4回華文戯劇節シンポジウムにおいて、再度報告を行なっている。また、さらに加筆訂正した上で、日本語版を中央大学文学科の『紀要』に発表した。研究分担者は昨年の「新民社上演演目一覧」に引き続き、「民鳴社上演演目一覧」をまとめ、出版した。上海の新聞『申報』掲載の上演広告を調査して作成された詳細な記録である。すでに春柳社の上演演目一覧も発表しているので、これによって文明戯を担った三大劇団の具体的な上演状況の基礎資料が整理されたことになる。民鳴社の場合、1913年11月から1917年1月までの活動期間中に合計355演目、のべ1339回の公演を行なっていることがわかった。
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