研究課題
本研究で扱う民間巷間資料は、その整理方法そのものが従来の書誌学の領域を越えた新しい研究分野であり、その比較的大きなコレクションである風陵文庫は問題解決のための基礎となる資料である。しかし、そもそもの紙質・装丁が素朴なものであるので、民国時期の資料でも線装本であっても却って劣化が激しい。そこで、資料をマイクロフィルムに撮影し、見開き毎のJPEG画像としてファイル管理を行って容易に閲覧・研究する基盤を作っている。昨年度は、風陵文庫俗曲部分(F400Z)について撮影を終わり、俗曲版本を系統的に管理するためのファイル名賦与を始めた。このファイル名賦与ならびにフォルダ管理には、多くの俗曲資料に応用できる体系を考えねばならない。本年度は全てのデジタル化作業を終え、寶巻部分(F399)、宣講部分(FB)の版本構成をふまえながら、現在もファイル名付与の作業を続けている。作業に伴い、宣講版本は通常の俗曲の構成よりはるかに複雑で、通常の書誌学の他様々な要素を考慮に入れねばならない難しい素材であることがわかった。将来の俗曲データベースに向けて問題を洗い出しつつ作業を進める必要があり、これにはまだ若干の時間を要する。大英博物館を調査した稲畑・堀の資料が大きな意味を持つこととなろう。本研究の完成にむけ、以下の作業を各メンバーが続けている。1、デジタル化途上の収集俗曲資料・風陵文庫資料のファイル名付与作業により顕在化する書誌学的問題点の研究。2、俗曲資料データベースフォーマット作成のための基礎的研究。3、各メンバーによる本課題による研究成果のまとめ(研究成果冊子の制作)
すべて その他
すべて 文献書誌 (2件)