研究課題
基盤研究(C)
中国庶民文化の「流通」の力学をテーマとし、文学・芸能・芸術・民間信仰・言語など多層面の相互の関わりから、中国近世近代庶民文化の生成・流布・変遷・交流といった「流通形態」のダイナミズムを解明する研究モデルを提示するべく、国内外の学際的な研究者が集まった。本研究で扱う民間巷間資料は、その整理方法そのものが従来の書誌学の領域を越えた新しい研究分野であり、その比較的大きなコレクションである早稲田大学風陵文庫は問題解決のための基礎となる資料である。2001年、まずは来日した海外研究分担者黄霖(上海復旦大学語学研究所所長)、リフチン(ロシア科学アカデミー世界文学研究所首席研究員)両教授とともに、二週間にわたり風陵文庫資料について討議した。そして、資料をマイクロフィルムに撮影し、見開き毎のJPEG画像としてファイル管理を行って容易に閲覧・研究する基盤を作るべく、基礎的な作業を終えた。世界的にも貴重な風陵文庫俗曲部分(F400Z)、民間宗教と俗曲版本流通についてダイナミックなテーマを含む寶巻部分(F399)、庶民文化を生き生きと反映した宣講部分(FB)などをデジタル化し、現在もファイル名賦与の作業を続けている。作業に伴い、宣講版本は通常の俗曲の構成よりはるかに複雑で、通常の書誌学の他様々な要素を考慮に入れねばならぬ難しい素材であることがわかった。将来の俗曲データベースに向けて問題を洗い出しつつ作業を進める必要があり、これにはまだ若干の時間を要する。大英博物館を調査した稲畑・堀の資料が大きな意味を持つこととなろう。本報告書では、現時点でのデジタル化とファイル名賦与による俗曲整理法を報告する。また、早稲田大学には中国古籍文化研究所が設立され、本研究の成果やメンバーそれぞれが期間中各地で収集した資料と研究成果を随時公開する基盤ができた。今後の展開が待たれる。
すべて 2003 2002 2001
すべて 雑誌論文 (8件)
中国古籍文化研究(中国古籍文化研究所早稲田大学) 第一号
ページ: 7-11
南京師範大学文学院報 30期
ページ: 154-159
中国文学研究 第二十八期
ページ: 61-72
Journal of the Waseda University Society of Chinese Literature No.28
中国文学研究 第二十七期
ページ: 1-23
ページ: 24-36
Journal of the Waseda University Society of Chinese Literature No.27
ページ: 24-37