研究概要 |
研究プロジェクトの初年度は,まず日英対照研究,および認知言語学,構文文法に関する文献や資料の收集を行った.また,データ収集のための各種辞書(CD-ROM化された辞書,用例集を含む)を購入した.さらに日本語の小説とその英訳のコーパスを作成した. これと平行して,研究代表者である小野は定期的に研究会をオーガナイズし,研究分担者の進行状況を把握するとともに,研究分担者間の情報交換を行った.研究会は7月から2月の間定期的に行った. 研究会では「概念スキーマに基づいた構文論」の仮説の検証を研究分担者が共同で行い,おのおのの課題を検討しあった.その結果の一部は,小野がスイスのジュネーブ大学で開かれたFirst International Workshop on Generative Approaches to the Lexiconにおいて発表し,論文にした.その概要は以下の通り. 英語には人や物の位置を表す構文で主語の倒置が起こることが知られている(例えば,In the village is a well.など)が,この構文に用いられる動詞は「場所や存在」の動詞だけではなく,人の行為を表すものまで含むことがある.これは構文と動詞の意味に融合がおこるためである.おなじことが日本語の相当する構文にも観察される.しかし,両言語には相違点も見られ,それは類似的な違いから由来する. また,堀江,上原はそれぞれ次ページに記載の論文を発表した.
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