研究課題/領域番号 |
13610560
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
舌津 智之 東京学芸大学, 教育学部・第一部言語文学第二学科・文部科学教官 助教授 (40262216)
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研究分担者 |
新田 啓子 東京学芸大学, 教育学部, 文部科学教官 講師 (40323737)
近藤 弘幸 東京学芸大学, 教育学部, 文部科学教官 講師 (00302901)
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キーワード | 聴覚 / ジェンダー / アメリカ合衆国 / イギリス / テネシー・ウィリアムズ / シェイクスピア / テレサ・ハッキャン・チャ / 主体形成 |
研究概要 |
本研究における平成13年度の目標は、各共同研究者が研究対象に選ぶ地域に赴いての基礎調査、あるいは聴覚資料の収集・分析を進めることであったが、全員が、その過程で得た知見を応用し、特定の文学表象・文化作品研究として発表する機会を得た。 舌津智之は、本研究費で購入したコンピュータを使用しながら、マルチメディア時代に配信される聴覚情報の方向的分散と受信コンテクストの多様化が、文化的性差の構築にどう係わり得るかを調査・分析した。なかでも舌津は、その関連における調査対象として、日米の現代演劇を取りあげ(雑誌論文成果1)、多様化する聴覚情報が、テネシー・ウィリアムズという特定の劇作家・戯曲のジェンダー論的側面をいかに照射し直すか、その点を考察した。近藤弘幸は、シェイクスピア研究の新たな地平を「結婚」と「性暴力」という、一見対局するかに思われる表象の連続性に求めて論じるとともに(図書共著論文成果)、英国大英図書館などに出張し、初期近代イギリス演劇の稀覯本を閲覧する機会を得、それに対する知見を深めた。新田啓子は、アジア系アメリカ女性前衛芸術家、テレサ・ハッキャン・チャを対象に、「発話」や「沈黙」に潜む暴力誘発性を「視覚」という別次元のテクストに転換し、告発する戦略に対する考察を深めた(雑誌論文成果2)。ところで同作家の場合は、そうした創作的営みを国民国家批判として結実させているが、新田は同時に、それと類似する戦略性-差異の表象を政治化する「聴覚」イメージの使用-を行うテクストを見い出すため、米国_ニューヨーク公立図書館などに赴き、それらを閲覧・収集した。
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