本研究では十数年にわたるブロンテ初期作品の創作過程の3分の2を共に過ごしたブウェル・ブロンテの関与について考察を行った。 初年度はブランウェルの初期作品のうち、後のアングリア物語の舞台となる点で重要な意味をもつ散文物語の一つ『若者たちの歴史』を取り上げた。同じ題材を扱ったシャーロットの作品と比較検討し、姉妹の創作における影響関係を論じた他、とくにアフリカ原住民に対する視点に両者の違いを認め、ブランウェル世界の特徴を考察した。 次年度は、前年に引き続き、アングリア物語全体の流れの中で重要な位置を占める「侵略戦争」を取り上げた。前年に取り上げた「若者たちの歴史」および先に論考した「イギリス人からの手紙」によって、ブランウェルの書作品のうちの初期の主要なものについての考察は終了した。さらにブランウェル研究の最新の動きについて、ブロンテ協会発行Bronte Studiesに掲載された論文から、ブランウェルの詩人としての評価、伝記的研究の最前線を取材した。 上記以外にシャーロット・ブロンテの初期作品の編集第2巻の出版、論文2点、国際学会発表を行った。また新たな研究テーマである日本におけるブロンテ受容史について、イギリス・ブロンテ学会発行のBronte Studies、『英語青年』への論文掲載、日本ブロンテ協会主催の公開講座において講演を行った。
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