研究概要 |
禁酒小説のテキスト入手に引き続き努力したが、平成16年度は、長く入手困難であったGeorge B.Cheever, Deacon Giles' Distillery (1835), Maria Lamas, The Glass ; or The Trials of Helen More, A Thrilling Temperance Tale) 1849)など重要なテキストが入手できた。 数年にわたり取り組んできたT・S・アーサー『酒場での十夜』の翻訳が完成した。現在、編集作業中であり、解説をつけたうえで、近々、出版される見通しである。出版の暁には、禁酒小説に関する一般の理解が高まることが期待できる。 また、『新世紀アメリカ文学』というアメリカ文学史の教科書を共同編集したが、このテキストは11個のキーワードを選び、執筆者それぞれの視点からアメリカ文学を読み解くという斬新なセクションを含んでいる。私自身は、その中で本研究の成果を生かし「酔いどれアメリカ文学」という項を担当し、アメリカ文学と酒の関連について解説し、あわせて関連するハリエット・ストウのテキストに解説と注釈をつけた。教科書と研究論文集の性格を併せ持つ本書を通じて本研究の成果の一端が社会に還元できたものと信じている。
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