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2003 年度 実績報告書

ウィリアム・ゴールディングの思想背景研究

研究課題

研究課題/領域番号 13610578
研究機関山口大学

研究代表者

宮原 一成  山口大学, 人文学部, 助教授 (10243875)

キーワードウィリアム・ゴールディング / ルドルフ・シュタイナー / 人智学
研究概要

研究第2年度(平成14年度)に、人智学創始者ルドルフ・シュタイナーの教育方法論を手がかりにして、ウィリアム・ゴールディング作品の新解釈を試みたことを承け、今年度は、教育論を越えてさらに広くシュタイナー思想の影響をゴールディング作品に求めた。時間的制約のため、ゴールディングの全作品を照査することが叶わなかったのは心残りである。しかし、彼の作家活動の前半に関してはかなり突っ込んだ解読ができた。まずゴールディング処女作の『蝿の王』(1954)について、シュタイナー教育論を離れ、さらに人智学的に解釈する方法論を探った。作品中で他の登場人物たちによる人間絵巻を超越しているような印象を与える少年サイモンに注目し、シュタイナーの提唱する人間像(肉体・エーテル体・アストラル体の3体構成と捉える見方)や高次の霊的認識の道筋、そしてシュタイナー流のキリスト観などがこの小説に反映されているさまを辿った。また、『蝿の王』で印象的に使われている4つの色(緑・ピンク・白・黒)に、ゲーテから受け継いだシュタイナーの色彩論の影響を見た。ゴールディングの第2作『後継者たち』(1955)については、上記の霊的認識段階論の他に、シュタイナーの提唱するオイリュトミーの影響を、登場人物の仕草や命名に探った。1956年の第3作『ピンチャー・マーティン』は、シュタイナーの主著『いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか』に説明されている「認識の小道」概念を、悲観的で皮肉な形で再演したものとして読む解釈を試みるなど、ゴールディング作品解釈にシュタイナー思想を援用する道筋を示した。これらの研究成果を、2本の論文と1本の研究ノートの形で発表した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 宮原 一成: "「教育小説」としてのLord of the Flies-そのSteiner教育的要素-"The Kyushu Review. 8号. 75-89 (2003)

  • [文献書誌] 宮原 一成: "Lord of the Fliesにおける人智学的要素-Simonを読み解く-"山口大学 人文会志. 54巻. 33-48 (2004)

  • [文献書誌] 宮原 一成: "William GoldingにRudolf Steiner思想が与えたと思しき影響に関する覚え書き"英語と英米文学. 38号(印刷中). (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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