研究概要 |
本研究では、節の統語的、意味的特性のうち、従来別個に扱われてきた法性の問題(疑問文、平叙文、感嘆文、命令文など)と極性の問題(肯定文、否定文)とを総合的に研究することを目標としたが、本年度までに、関連する研究(Cheng 1991,Watanabe 1993,Rizzi 1997,Laka 1990,Culicover 1991,Haeman 1995)を批判的に検討して、それらの問題点を整理した。 特に、CP構造や日英の機能範疇、補文内の主節現象、否定対極表現の認可、等に関わる従来の研究の問題点を検討し、これらの問題点を克服するためには、(従属)節における節タイプの表示に関する比較統語論的研究、CP, TP, PolP(and/or NegP)など機能範疇投射に関する詳細な検討、ならびに普遍文法理論の再構築が必要であることを明らかにした。 それらの研究成果の一部は、日本英語学会19回全国大会(西岡)、日本英文学会九州支部大会(稲田、西岡)で発表した。特に、日本英文学会九州支部大会においては、本研究の課題を中心とした講師4名によるシンポジウムを企画し、その妥当性をめぐって検討を行った。更に、研究成果の一部を、論文として「日本英語学会研究論文集」(西岡)、「文学研究」(西岡)、「市川賞30年の歩み(仮題)」(稲田)、「英語青年」(稲田)などにおいて発表した。 また、MITの宮川教授を講師とした言語科学研究会を開催して、関連する問題にについて講演と専門的知識の提供を受けた。 関連文献の整理についても、補文タイプ・否定表現の認可、CP, TP, PolP(and/or NegP)等の機能投射に関連する論文を中心として、謝金による大学院生の研究補助により、進行中である。
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